コラム

ERP運用に潜む“難” ビジネスプロセス合理化を「負担なく」加速するにはどうすればいいのか?

 

 クラウド全盛の今、長く企業の基幹システムを支えてきたメインフレーム市場が徐々に縮小している。実際に、某大手メーカーは2030年にメインフレームの製造・販売の撤退を発表。それを見据え、基幹システムを統合型ERPパッケージに移行しようと考える企業も多いようだ。

 

※ERPは企業資源計画を指すが、ここではより狭義の「基幹システム」を意味する

 

 とはいえERPパッケージ導入にも課題はある。どこが自社の業務にフィットして、どこにギャップがあるのか、機能の「フィット&ギャップ」を洗い出す作業が必ず発生するのだ。

 特に素材系商材を扱う企業では、複数の数量や規格を持つ製品の販購買・生産管理を行う必要がある。一般的にERPパッケージには、これらの管理を担う標準機能が用意されているが、各社の商習慣や取扱商材が異なる以上、標準機能だけでは運用できない業務もあり、その場合、ERPパッケージを大幅にカスタマイズしたり、独自システムを構築したりするなど、かなりのコストをかけて対応しなくてはならないケースが散見される。

 

純国産で日本の商習慣にマッチした「GRANDIT」

 

 そのような企業状況について、純国産ERPパッケージ「GRANDIT(グランディット)」のプライムパートナーとして、多くの企業の基幹システム導入を間近で見てきた日鉄日立システムソリューションズ(以下、NHS)に話を聞くと、「ギャップ部分に対応するため、業務に合うアドオン機能を追加したり標準機能をカスタマイズしたりすると、パッケージのライセンス費用及び導入費用に開発費用が追加されて、内容によっては大幅にコストが上がるケースもある」という。標準機能だけで済むように、業務自体をERPパッケージに合わせることも可能だが、それでは業務を変更する現場の負担が大きい。

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船田定大氏(GRANDITソリューション部 シニアマネジャー)

 結果的に、ERPパッケージに対してアドオン・カスタマイズ機能を開発してシステムを運用している企業は少なくない。NHSの船田氏は「ERPパッケージの導入でビジネスプロセスの合理化を図ることができるようになった裏で、想定外の手間と費用に疲弊している企業も一定数、存在する」と話す。

 

 GRANDITは純国産ERPパッケージである。ERPパッケージの中には海外製も多く存在するが、それらは日本の商習慣にマッチしないケースもある。多くの機能を有しているので、それらを組み合わせれば業務データのインプットは行えるが、多機能であるが故に操作の手数が多く、利用者にも高い製品知見が要求される。船田氏も「使いづらい、マニュアルがないと操作できないという声をよく聞く」という。

 一方、GRANDITは日本製なので、受発注の出合取引や五十日(ごとうび)締めといった販売・会計系の基本機能が充実しており、日本の商習慣にマッチしている。特に会計領域は標準機能のフィット率が高い。

 

 同社の大竹氏は、「海外製のERPパッケージは局所的、断面的で個々のモジュールに対してスペシャリストを作っていくようなイメージがある。弊社では、各部門でGRANDITを使いこなせるよう導入前後で支援するとともに、ERPパッケージを部門横断で俯瞰(ふかん)して見られるよう構築することを意識している」と語った。

 

【導入事例1】複数規格の複雑な要件定義、入力効率向上を果たしたA社

 

 ここからは、実際にGRANDITを導入したA社、B社の事例を紹介しよう。

 A社は建築資材のメーカー。従来のメインフレームからのリプレースを検討していたが、日々の伝票入力数がかなり多く、入力効率を上げたいという要望が強かった。また、冒頭で触れた素材系商材を扱う企業に該当し、業界特有の複数の数量単位や規格項目を商材ごとに管理するという必須要件があった。これらを解決するものとして決め手になったのが、GRANDITの「販売管理テンプレート」だ。

 

販売管理テンプレートとは? 複数規格管理で詳細な製品管理が実現

 

 NHSが独自に開発した販売管理テンプレートは、GRANDITの標準機能に+αで使える“アドオンパッケージ”のようなもので、商品を複数の規格で管理する「複数規格管理」と、複数の数量単位で管理する「複数数量管理」機能を持つ。

 

 

 

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                                     複数規格管理と複数数量管理のイメージ

 

 

 素材を扱う企業の場合、同じ製品でも形状の違いや荷姿違いなどさまざまな規格項目で管理する必要がある。GRANDITは、標準で「システム全体」で最大2種までしか規格項目として管理できないが、販売管理テンプレートは「商材別」で最大10種まで拡大できる。例えば、商材が紙の場合、標準機能では「用紙サイズ」「色」しか設定できないところ、販売管理テンプレートを利用すれば「用紙サイズ」「色」「形状」「厚み」「長さ」「荷姿」など、管理できる幅を広げることができ、よりきめ細やかな製品管理が可能になる。これが複数規格管理機能だ。

 

 A社は、同じ商品でも縦横の長さ、厚みなど複数の規格があり、GRANDITの標準機能ではカバーしきれない。そこで販売管理テンプレートを活用し、複数規格を持たせて管理することで「尺」単位からミリ、メートルへの換算もできるようにした。

 

複数数量管理の自動換算で入力の負荷が大幅減

 

 また複数数量管理は、扱う製品に独特の重さやサイズなどを設定し、自動で換算できるようにする機能だ。GRANDITの標準機能では、1kg=1000g、1ダース=12本といった一般的な換算は可能だが、商材ごとに入り数が異なるケースへの対応は難しい。それが複数数量管理を利用すれば、例えば紙のロール1本は1000枚単位の「連」でいくつになるか、3連だったら何kgか、など商品規格で異なる単位や数値を設定して、自動で計算したり換算したりといったことができるようになる。

 

 仕入や在庫は本数、長さで管理し、顧客へ販売する際は先方に分かりやすい重さで表示することも可能だ。もちろん自動換算なので電卓をたたく必要もない。日々の伝票入力を効率化でき、従業員の負荷も軽減される。この点も、A社の「使い慣れた既存システムからの変更によって、入力効率を落としたくない」というニーズにマッチしていた。

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大竹勇輝氏(GRANDITソリューション部 シニアマネジャー)

 なお、A社は使い勝手やレスポンスの速さなどにもこだわっていた。レスポンスにはサーバのスペックが影響するが、NHSの大竹氏はそれだけではないと話す。「利用頻度が高い機能については、クリックが1つ増える、隣の項目へのマウス操作が1つ挟まるかどうかすらも、業務効率の重要なファクター。そのため画面入力時、次の項目に移動する際、クリックしなくても自動的にカーソルが動くといったUX面のカスタマイズや、項目の並び順などに配慮し開発した」と工夫を話す。

 

 A社の場合、入力効率が重要要件のウェイトを占めていたので、カスタマイズをしてでも、それをかなえる必要があった。しかし、だからといって現行システムと全く同じ数量管理、規格管理方式をパッケージに持ち込もうとすると、パッケージのデータ構造が破綻してしまいかねない。

「A社のシステムは、結果的にGRANDIT標準機能から画面構成が大幅に変更されているが、裏で動いている数量管理、規格管理に関するデータベースの構成は、販売管理テンプレートから何ら変わっていない」(船田氏)

 

 顧客の要望に寄り添いつつ、かつパッケージを壊さない絶妙なさじ加減は、ERPパッケージ導入においてシステム理解や業務理解に長けた同社が担当しているからこそ実現できた例だろう。

 

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大迫未歩氏(GRANDITソリューション部)

 一方、大竹氏とともにA社の債権機能を担当した大迫氏はA社の支払い慣習に合わせたシステムを構築したが、「会社によって締め日が異なり、仮の請求データを作成する『仮締め』もある。その仮締めをどうやって運用するかは苦労した部分」と振り返る。GRANDITの標準機能には仮締め機能がないため、カスタマイズが必要だった。

 しかし、「現存の機能でできることをお客さまとすり合わせた。例えば運用手順をちょっと変えれば処理できるという提案で、できるだけ今の状態を変えないような運用方法も、現場の経理担当者と一緒に考えた」(大迫氏)ことで対応したという。パッケージと顧客業務を俯瞰することを重視する姿勢が伝わってくる。

【導入事例2】NHSの柔軟な対応力によりスムーズな稼働を実現したB社

 

 次に、紙の専門商社であるB社のケース。A社とは異なり、より標準機能に近い形で販売管理テンプレートの機能を使い、カスタマイズは最小限にした事例となる。つまり、それまでB社が使っていたシステムから仕様が変わることも見込む必要があったわけだが、そこでポイントとなったのが「B社内のキーマンにGRANDITの品種定義がどういう作りをしているか、よく理解してもらう」ことだったと、船田氏はいう。

 

 まずは実際に動かせる環境で設定を試し、操作を通して販売管理テンプレートがどういうものかキーマンの理解を促す。これは「キーマンの方にわれわれと社内のエンドユーザーの間に入ってもらって、通訳をしてもらう」(船田氏)ためだ。

 

 エンドユーザーがマスター設定内容を業務視点で理解しやすく、かつSEが具体的な単位・規格項目設定および数量換算式に落とし込みやすいよう、橋渡し用のExcelシートも作成した。通常、パッケージについての知見がない状態で「マスターを設定してください」といわれても、容易に対応できるものではない。多種多様な商材に対応できる汎用的な作り、複数規格、複数数量の設定になればなおさらだ。そこで「キーマンに橋渡しをしてもらった」(船田氏)形だ。

 

 ExcelシートはキーマンとNHSが協業して作成にあたったが、現場のエンドユーザーにも理解しやすい言葉を使い、設定例を付けるなどの工夫をした。シートは一朝一夕で仕上がるものではないが、コミュニケーションエラーを防ぐ重要なツールになっている。

 

 以上の事例のように、GRANDIT導入の際は顧客側に多少、頑張ってもらわなくてはならない部分もある。しかし、販売管理テンプレートを活用することで、低コストでさまざまな業務や多様な要件に柔軟に対応できることがお分かりいただけただろう。

 

 なお、B社のGRANDIT導入プロジェクトはB社内の業務表彰の対象となった。予算内で導入できたこと、さらに従来の販売系と会計系が分断されたシステムが統合されたことによって業務効率化につながった。その導入効果が高く評価された形だ。

 

NHSなら保守・運用も安心 他ツールとの連携によりビジネス拡大を目指す

 

 GRANDITの導入ベンダーは他にも複数社あるが、NHSはGRANDITの製品知見やアドオン、カスタマイズ開発の経験が豊富なメンバーが多数在籍し、GRANDITを知り尽くしている点が強みだ。顧客の要望に沿ってシステムを構築できる高い技術力を持ったSEが担当することに加え、社内の体制として「導入チームと保守チームが連携を取りながら運用している」(大竹氏)こともポイントになる。

 

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 一般的に、システムを導入するまでは積極的だったのに、「導入後はトーンダウンするシステムインテグレーターは珍しくない」と船田氏は吐露する。その点、NHSの導入チームと保守チームは「1つの建屋に入った1つの組織として、横のつながりが密。意見交換も活発に行われ、風通しが良い」(船田氏)とのことで、導入後も心強い。

 

 NHSは、今回紹介したGRANDITの販売管理テンプレートや、今後、紹介予定の「生産管理テンプレート」を含めたテンプレート群を武器に、自社の統合電子帳票基盤システム「Paples」や電子取引プラットフォーム「DocYou」などと組み合わせて、基幹システム導入を中心に中堅企業のDXを実現するトータルソリューションを提供し、そこで得たノウハウを糧に製品開発力や付加価値を高める好循環を生み出していく考えだ。

 

 ERPパッケージへの移行に踏み出したい、もしくは現在のERPパッケージ運用に課題があるなら、ぜひNHSに相談してみてはいかがだろうか。

 

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※本記事は2023/03時点の情報です。

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